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相続セミナー【第1部】第1回 なぜ「相続」を知る必要があるのか? ~人生設計と財産承継の入口~

ポッドキャストでお聞きになるにはこちらから↓

https://spotifycreators-web.app.link/e/voPWGSoGsTb

 

人生100年時代と言われる現代において、私たちはより長く、そして豊かに生きるための準備をする必要に迫られています。その準備の一つとして、決して避けて通れないのが「相続」について考えることです。

「相続」と聞くと、どうしても「争い」「手続きが面倒」「お金持ちの話」といったネガティブなイメージが先行してしまうかもしれません。しかし、それは一面的な見方に過ぎません。相続は、私たちが築き上げてきた大切な財産を、次の世代へと円滑に承継するための重要なプロセスであり、同時に、自身の人生の終末期をどのように迎えたいかを考えるきっかけにもなり得るのです。

この記事では、40代から50代の皆様に向けて、「なぜ今、相続について知る必要があるのか?」という根源的な問いについて、具体的な理由を交えながら解説していきます。

1.人生設計における「相続」の重要性

40代、50代といえば、子育てが一段落し、自身のキャリアも安定期に入る頃でしょうか。あるいは、親御さんの介護や体調の変化を意識し始める方もいらっしゃるかもしれません。このようなライフステージにおいて、「相続」は決して他人事ではありません。

① 親の相続を通じて直面する現実

多くの方が最初に「相続」を意識するのは、ご自身の親の相続に直面した時ではないでしょうか。突然の出来事に戸惑い、何から手をつければ良いのか分からず、親族間で感情的な対立が生じてしまうケースも少なくありません。

  • 遺産分割協議の難航: 誰が何をどれだけ相続するのか、話し合いがまとまらない。
  • 複雑な手続き: 金融機関や法務局での煩雑な手続きに時間と労力がかかる。
  • 予期せぬ税負担: 相続税の存在を知らず、慌てて資金準備に奔走する。

これらの現実は、事前に相続について何も知らなければ、大きな負担となってしまいます。親の相続を経験することで初めて、相続の知識の必要性を痛感する方も多いのです。

② 自身の将来を見据えた準備

親の相続を経験するだけでなく、ご自身の将来についても考える必要があります。私たちは、自身の死後、残された家族にどのような思いをさせたいでしょうか?

  • 円満な財産承継: 遺族間で争うことなく、スムーズに財産を引き継いでほしい。
  • 経済的な安心: 残された家族が、生活に困ることのないようにしたい。
  • 感謝の気持ちを伝えたい: 生前に伝えきれなかった想いを、財産という形で残したい。

これらの想いを実現するためには、早いうちから相続について考え、準備を始めることが大切です。

2.「争族」を避けるための知識

相続において、最も悲しいことの一つが、親族間の争いです。「まさか自分の家族が…」と思うかもしれませんが、遺産分割を巡る争いは決して珍しいことではありません。

① 相続争いの原因

相続争いの原因は様々ですが、主なものとしては以下のような点が挙げられます。

  • 遺言書の不存在または不備: 誰に何を相続させるのかが明確でない。
  • 生前贈与の不公平感: 特定の相続人にのみ生前贈与が行われていた。
  • 寄与分の主張: 被相続人の財産形成に貢献したとして、特別な取り分を主張する。
  • 感情的な対立: 過去の遺恨や不満が表面化する。

これらの原因を未然に防ぐためには、遺言書の作成や生前贈与の検討、そして何よりも相続に関する正しい知識を持つことが重要です。

② 行政書士の役割

このような相続争いを未然に防ぎ、円滑な財産承継をサポートする専門家の一人が、私たち行政書士です。行政書士は、遺言書の作成支援、遺産分割協議書の作成、相続手続きに関するアドバイスなど、相続に関する幅広い業務を取り扱っています。

弁護士のように訴訟代理権はありませんが、紛争を未然に防ぐためのサポートや、煩雑な手続きを代行することで、ご遺族の精神的・時間的な負担を軽減することができます。

「うちは財産が少ないから大丈夫」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、不動産や預貯金など、形のある財産だけでなく、思い出の品なども含めて、誰にとっても大切な財産です。金額の大小に関わらず、事前の準備が大切なのです。

3.遺言書の重要性

相続対策の最も有効な手段の一つが、遺言書の作成です。遺言書は、ご自身の最終的な意思を示すものであり、遺産分割の基準となる最も重要な書類です。

① 遺言書のメリット

  • 遺産分割方法の指定: 誰に何を相続させるかを具体的に指定できるため、遺族間の争いを防ぐことができます。
  • 特定の相続人への配慮: 生前にお世話になった方や、経済的に支援が必要な親族に、より多くの財産を残すことができます。
  • 遺言執行者の指定: 遺言の内容を実現するための遺言執行者を指定することで、スムーズな手続きが期待できます。
  • 付言事項による想いの伝達: 財産の分け方だけでなく、残された家族へのメッセージや感謝の気持ちを伝えることができます。

② 遺言書の種類と注意点

遺言書にはいくつかの種類がありますが、一般的に利用されるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。

  • 自筆証書遺言: ご自身で全文を自筆し、日付と氏名を署名・押印する方式です。手軽に作成できますが、法的な要件を満たしていないと無効になるリスクがあります。また、保管方法によっては紛失や改ざんの恐れもあります。
  • 公正証書遺言: 公証役場で公証人に作成してもらう方式です。専門家が関与するため、法的な不備がなく、原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。証人2名の立ち会いが必要となりますが、最も確実な遺言書と言えるでしょう。

どちらの遺言書を作成するにしても、専門家である行政書士に相談することで、法的なアドバイスや作成のサポートを受けることができます。

4.家族信託という選択肢

近年注目を集めている財産管理・承継の方法として「家族信託」があります。家族信託は、ご自身の財産を信頼できる家族に託し、その家族がご自身の意思に基づいて、財産の管理・運用・承継を行う仕組みです。

① 家族信託のメリット

  • 柔軟な財産管理・運用: 生前の財産管理だけでなく、認知症などで判断能力が低下した場合の財産管理もスムーズに行えます。
  • オーダーメイドの設計: ご自身の希望や家族の状況に合わせて、財産の承継方法を柔軟に設計できます。
  • 二次相続以降の指定: ご自身の死後だけでなく、さらにその次の世代への承継先を指定することも可能です。
  • 遺言書では難しい財産の承継: 例えば、「長男の生存中は長男が住み、長男が亡くなったら孫に相続させる」といった複雑な財産承継も実現できます。

② 行政書士と家族信託

家族信託の組成には、法的な知識や契約書の作成が必要となります。行政書士は、家族信託の設計や契約書作成のサポートを通じて、お客様の希望に沿った財産管理・承継の実現を支援します。

5.相続税の基礎知識

相続が発生すると、一定の財産額を超える場合には相続税が課税されます。相続税は、遺産の総額や相続人の構成によって税額が大きく変動するため、事前に基礎知識を身につけておくことが重要です。

① 相続税の仕組み

相続税は、亡くなった方(被相続人)の財産から、基礎控除額を差し引いた残りの金額に対して課税されます。基礎控除額は、「3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)」で計算されます。

② 相続税対策の必要性

相続税の負担を軽減するためには、生前からの対策が重要となります。例えば、生前贈与を活用したり、不動産の評価額を下げる対策を講じたりすることが考えられます。

税金に関する専門家である税理士と連携しながら、行政書士も相続対策の প্রাথমিক段階で、財産の洗い出しや生前贈与の検討など、幅広いサポートを提供することができます。

まとめ

今回は、「なぜ今、相続について知る必要があるのか?」というテーマで解説しました。相続は、決して他人事ではなく、私たちの人生設計において、そして大切な家族の未来を守るために、真剣に向き合うべき課題です。

  • 親の相続を通じて、その重要性を痛感するかもしれません。
  • 自身の将来を見据え、早めの準備が大切です。
  • 遺言書や家族信託は、円満な財産承継のための有効な手段です。
  • 相続税の知識も、安心して未来を迎えるために必要です。

もし、この記事を読んで少しでも相続について関心を持たれたなら、まずは専門家である行政書士にご相談ください。私たちは、皆様の疑問や不安に寄り添い、最適な解決策をご提案いたします。

次回のブログでは、具体的な「相続手続きの流れ、必要書類、注意点」について詳しく解説していきます。どうぞご期待ください。

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